第4号議案 株主提案 自己株式取得の件

第4号議案から第6号議案までは、株主さま1名からご提案いただいたものです。なお、以下の議案の要領および提案の理由は、議案ごとに整理し、提案株主さまから提出されたものを原文のまま記載しております。

1.議案の要領

会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を、株式総数9,750,000株、取得価額の総額28,000,000,000円を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。

2.提案の理由

当社はルウカレーやルウシチュー、レトルトカレーで国内シェアNo.1の強いブランド力を持つ競争優位性のある事業を展開しているとともに、米国TOFU事業、中国カレー事業、アセアン機能性飲料事業の海外食品事業では高い成長性が期待できます。しかし、当社の事業は競争優位性があり成長性が高いこととは対照的に、当社は現金資産の積み上がりにより自己資本利益率(ROE)は継続的に悪化し、株価低迷の一因となっております。当社のROEは過去5年間平均で5%を下回っており、当社の中期計画のあるべきプロポーション10%を大きく下回っているだけではなく、ROEが資本コストを継続的に下回っていることは明白です。


当社は第7次中期計画のもと3年間で自己株式取得120億円を計画され、株主還元の拡充および資本効率の向上に向けた対策を実施している点は一定の評価が出来るものです。しかし、現金資産の積み上がりによりROEが継続的に悪化している現状を考えれば、将来のM&A・設備投資・研究開発資金、さらには予期せぬリスクへの備えるための必要資金を考慮しても、現在の現金資産の水準は過大であると考えます。必要資金を超えた現金資産の積み上げは資本効率の低下・企業価値の毀損につながります。当社は過大な現金資産によりROEが悪化している現状を考えれば、株主還元をさらに拡充することによりROEの向上を目指すべきです。そこで、更なる当社の株主還元の拡充および資本効率の向上を図るため、当社が発行済株式総数(自己株式を除く)の約10%を自己株式として取得する施策を採用すべきと考えます。

3.第4号議案に対する当社取締役会の意見

取締役会としては、本議案に反対いたします。

2021年4月よりスタートした第七次中期計画(以下「中期計画」といいます。)では、3か年計700億円(成長領域400億円、既存領域200億円、デジタル・環境領域100億円)の投資を計画しております。2023年3月期は、米国キーストーンナチュラルホールディングス社の子会社化等、海外事業投資を中心に自己資金を成長領域への積極投資に振り向けており、その結果、期末の現金資産〈※〉は、前期末比179億円減少の1,299億円となりました。2024年3月期も中期計画に沿って積極的に成長投資を推し進めてまいります。

また、当社は資本コストを意識した経営を進めており、投資判断に際しては、経営会議の諮問機関である投資委員会が、資本コストを上回るリターンが得られることの検証とともに、戦略適合性・リスクの洗い出しなどの客観的評価を行ったうえで、経営において意思決定しております。

株主のみなさまへの還元は経営の重要課題と位置づけております。配当は、企業結合に伴い発生する特別損益やのれん償却の影響を除く連結配当性向30%以上を基準とした安定的配当を継続することを基本方針とし、2023年3月期の年間配当金は前期同額の一株当たり46円(上記ベースの連結配当性向31.9%)として、本定時株主総会に提案を予定しております。また中期計画では、配当と並ぶ株主還元策として政策保有株式縮減から得られるキャッシュを原資とした120億円の自己株式取得を計画しております。2023年3月末時点で、政策保有株式は中期計画3か年で20%縮減の計画に対し16.7%縮減、自己株式は3か年合計120億円の計画に対し100億円を取得しており、ともに最終年度(2024年3月期)に計画を達成する見込みです。

このように当社は、明確な財務資本政策のもと、将来のあるべき姿を見据えた投資と株主還元を着実に実行しております。一方で本株主提案による自己株式取得の規模は当社の年間利益水準を大きく上回るものであるため、成長投資の財源が損なわれ、当社の中長期的な企業価値の持続的な向上が停滞する恐れがあり、結果として株主のみなさまの利益に繋がらないと判断いたします。当社としては、自己株式取得は本株主提案に定める時期や金額で実施するのではなく、中期計画に基づき、業績や財務状況、株価水準などを総合的に勘案して実施することが適切であると考えます。

従いまして、取締役会としては本株主提案に反対いたします。

〈※〉現金資産=現預金+有価証券+投資有価証券

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