第6号議案 株主提案 社外取締役の構成に関する定款変更の件
1.議案の要領
当社の社外取締役を過半数とするため、当社の定款第18条を下記の通り変更する。
2.提案の理由
弊社は今日の上場企業経営において取締役会の多様性と独立性が不可欠であると考えます。多様性ある取締役会とはスキル、経験、年齢、国籍、ジェンダーなど幅広い視点から経営判断ができる取締役会を意味し、独立性のある取締役会とは少なくとも過半が独立社外取締役から構成されている取締役会を意味します。
コーポレートガバナンス・コード原則4-8は、「独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。」と規定しています。また、コーポレートガバナンス・コード原則4-7は、独立社外取締役の役割・責務の一つとして、「経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」を挙げています。
当社は、取締役12名のうち社外取締役は4名となっており、コーポレートガバナンス・コード原則上の要件は充たしているものの、より積極的に取締役の過半数を社外取締役とすることで、資本効率を上げ、株主還元を図り、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するガバナンス体制を整えることができると考えます。
また、社外取締役の人数のみならず、社外取締役の資質についても、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与することができる人材が必要であり、この点、女性及びアナリストとして高い経験とスキルを持つ人材の登用を検討すべきと考えます。
「アナリストとして高い経験とスキルを持つ人材」の登用は、外部投資家・株主の目線を取締役会にもたらすと同時に、健全なリスクテイクを通じた企業価値向上に資する効果的な手段と考えます。本来、上場企業の取締役会と投資家・株主は企業価値の長期的な向上という同じ目標を共有しながら、不幸にも日本においては両者が対立的な構図でとらえられることも少なくありません。上述の経験・スキルを持つ取締役が取締役会の議論・意思決定に参画することは、健全なリスクテイクと資本配分、そして市場とのより良いコミュニケーションを通じて取締役会と株式市場の関係を本来の建設的なものにするでしょう。しばしば銀行出身者や会計士がスキルマトリックスのファイナンス部分を担うと説明されますが、「健全なリスクテイク」を促す観点からは会計や負債市場の専門性だけでは不十分であり、そこにエクイティ市場の専門家の意義があると考えます。
3.第6号議案に対する当社取締役会の意見
取締役会としては、本議案に反対いたします。
当社は、2021年6月より独立社外取締役を委員長とし、委員の過半数を独立社外取締役で構成する指名諮問委員会を設置し、取締役候補者の選定プロセスの客観性や透明性を確保しております。コーポレートガバナンス報告書で開示している取締役選任基準に基づき、企業価値向上に寄与する人材を取締役候補者として提案しております。
また当社は、クオリティ企業への変革を加速し、成長に向けた新たなチャレンジを進める事業持株会社として、取締役会は監督と執行の両機能を持つことが望ましいと考えております。執行機能として各事業責任者が取締役を兼務し、グループ全体を俯瞰した立場で監督しております。さらに、監査機能を持つ監査等委員と合わせて取締役会を構成しております。
2021年6月より監査等委員会設置会社へ移行するとともに、独立した立場からの監査監督機能をより強化するため、社外役員全員が監査等委員である取締役に就任しております。監査等委員会は、内部監査部門を組織上の配下に置き、各事業会社監査役と連携した組織的監査を行っております。社外取締役監査等委員には、毎回の取締役会で発言機会を確保するなど、適法性監査の観点だけでなく、業務執行に対する独立した立場からの意見表明を重視しており、これを経営に活かすことでガバナンスを一層強化する体制としております。現在、取締役総数12名中4名(うち女性1名)を独立社外取締役としており、企業経営経験者、弁護士、官庁出身者など多様性に富む構成となっております。
以上のことから、現状の当社取締役会は多様性と独立性が確保されており、今後のガバナンス強化にもつながる体制と考えております。一方で本株主提案のような規定を定款に設けることは、取締役会のあるべき姿の議論や取締役候補者の選択範囲を却って制限し、その時々の経営戦略に基づいて機動的に検討すべき取締役会構成の妨げになると判断いたします。
従いまして、取締役会としては本株主提案に反対いたします。