第5号議案 株主提案 取締役が保有する株式の取扱いに関する定款変更の件

1.議案の要領

当社の取締役が保有する株式の取扱いについて定めるため、当社の定款第9条を下記の通り変更する。

2.提案の理由

弊社は日本の取締役会の最大の弱点が各取締役による株式保有の少なさ、それによる株主目線の欠如にあると考えます。当社においても創業家出身者を除き、取締役の経済的利益の大半は基本報酬や短期業績に紐づけられており、中長期的な企業価値向上との相関が不十分と考えます。


欧米においてはほぼすべての主要上場企業において、株主との価値共有に必要と考えられる一定量の株式について一定期間の継続保有要件を定める株式保有ガイドラインが採択されています。数年間の猶予期間を経て、トップマネジメントであれば基本報酬の3~5倍、社外取締役でも報酬の1倍とするケースが大半です。


弊社は当社の取締役その他の経営陣にも、過去の常識にとらわれず、世界水準に劣らないオーナーシップのレベルを目指すこと、適切な開示を通じてそのコミットメントを示すことを提案し、株式保有ガイドラインを制定することを提案します。

3.第5号議案に対する当社取締役会の意見

取締役会としては、本議案に反対いたします。

当社の取締役報酬制度は、「企業価値向上と持続的成長に向けた動機づけとなること」、「役位ごとの役割や責任に相応しいものであること」、「報酬決定の手続きに客観性と透明性が担保されていること」の3点を基本的な考え方としております。

また、2017年5月より、独立社外取締役を委員長とし、委員の過半数を独立社外取締役で構成する報酬諮問委員会を設置し、報酬決定の手続きにおいて客観性と透明性を確保しております。

取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬は、月例報酬・単年度業績連動報酬(短期インセンティブ)・譲渡制限付株式報酬(長期インセンティブ)で構成しております。報酬諮問委員会では、外部調査機関の客観的データを用いて当社の事業規模に見合った水準や割合を検証しており、報酬割合を「70%:20%:10%」としております。

「月例報酬」は、役位別に定める水準に役割に応じた加算を行う固定報酬とし、「単年度業績連動報酬」は、単年度の当社グループまたは担当事業会社の業績達成度を評価する会社業績と、個人目標の達成度を評価する個人業績の二つの評価に基づき、賞与を70%から130%の範囲(業績に著しい変動が生じた場合は、0%から150%の範囲)で変動させる変動報酬としております。2021年6月より、株主のみなさまとの価値共有を図るべく「譲渡制限付株式報酬」を導入しており、取締役退任日まで譲渡が制限された当社株式を、対象取締役に毎年付与しております。

なお、監査等委員である取締役は、独立した立場で業務執行の監査・監督を役割とする観点から報酬にインセンティブを含めず、固定報酬のみで構成しております。

以上のように現行の取締役報酬制度は、「決定プロセスの客観性・透明性」、「報酬水準・割合の妥当性」、「株主のみなさまとの価値共有」がいずれも確保され、適正に決定されたものであります。一方で本株主提案は、その具体的な内容を定めることなく株式保有ガイドラインの制定を求めるものですが、現行の当社取締役報酬制度下において、株式報酬のみを特別に規定する当該ガイドラインの制定を定款に定める必要性はないと判断いたします。

従いまして、取締役会としては本株主提案に反対いたします。

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