第6号議案 取締役等に対する業績連動型株式報酬制度導入の件
当社の取締役に対する報酬等は、「基本報酬」、「年次賞与」および「株式報酬型ストックオプション」の3つで構成され、基本報酬につきましては、2006年6月23日開催の第114回定時株主総会において年額400百万円以内としてご承認いただき、年次賞与につきましては、事業年度ごとの業績成果を反映した年次賞与を、その支給の都度、定時株主総会でご承認いただき、株式報酬型ストックオプションにつきましては、2006年6月23日開催の第114回定時株主総会および2021年6月23日開催の第129回定時株主総会においてそれぞれご承認をいただき今日に至っております(なお、今般の年次賞与を含む取締役の報酬額の改定につきましては、第5号議案をご参照ください)。
本議案は、当社の取締役および執行役員(社外取締役、非常勤取締役および国内非居住者を除きます)(以下総称して「取締役等」といいます)を対象に、当社の中期戦略に掲げる経営目標(財務目標およびサステナビリティ目標)等の達成および株主価値を含めた中長期的な企業価値の向上に向けたインセンティブを付与することを目的として、これまでの株式報酬型ストックオプションに代えて、新たに信託を用いた株式報酬制度(以下「本制度」といいます)の導入をお願いするものであります。
本制度に基づく株式報酬は、2006年6月23日開催の第114回定時株主総会においてご承認いただき、第5号議案でも同内容であらためてご承認いただきます基本報酬、および、第5号議案で新たにご承認いただきます年次賞与とは別枠で支給させていただくものです。
当社は、第5号議案および本議案が原案どおり承認可決された場合、取締役の個人別の報酬等の決定方針を株主総会参考書類25頁~28頁に記載の「(ご参考)取締役等の報酬等の決定方針および決定方法に関する事項(第5号議案および第6号議案が承認された場合)」のとおりに変更することを予定しておりますが、本議案の内容は、当該変更後の方針に沿う内容の取締役の個人別の報酬等を付与するために必要かつ合理的な内容となっております。また、対象期間(下記1(2)に定義されます)ごとに取締役等に交付等(下記1(1)に定義されます)することを決定できる当社株式等(下記1(1)に定義されます)の上限は、11万ポイントに相当する当社株式数(11万株相当)に対象期間の年数を乗じたポイント数に相当する株式数であり、当初の対象期間においては33万ポイント(33万株相当)となりますが、当該株式数の当社発行済株式総数(2022年3月31日時点における自己株式控除後の数)に対する割合は0.15%未満であります。そのため、本議案の内容は相当であると考えております。
本議案の対象となる取締役の員数は、第2号議案「取締役11名選任の件」が原案どおり承認可決されますと、6名となります。また、上記のとおり、本制度は当社の執行役員も対象としており(本総会終結の時点において本制度の対象となる取締役を兼務しない執行役員は11名となる予定です)、本制度に基づく報酬には執行役員に対する報酬等も含まれますが、本議案では、それらの執行役員が対象期間中に新たに取締役に就任する可能性があることを踏まえ、本制度に基づく報酬等の全体につき、取締役等に対する報酬等としてその額および内容を提案するものであります。
なお、本議案が原案どおり承認可決されることを条件として、株式報酬型ストックオプションとしての新株予約権は、新たな割当を行わないことといたします。
本制度にかかる報酬等の額および具体的な内容
(1)本制度の概要
本制度は、当社が拠出する取締役等の報酬額を原資として、当社が設定した信託(以下「本信託」といいます)が当社株式を取得し、当社が定める株式交付規則に従って、本信託を通じて取締役等に当社株式および当社株式の換価処分金相当額の金銭(以下「当社株式等」といいます)の交付および給付(以下「交付等」といいます)を行う株式報酬制度です(詳細は下記(2)~(7)のとおりです)。
(2)当社が拠出する金員の上限等
本制度の対象となる期間は、当社が掲げる中期戦略等の計画期間となる事業年度(以下「対象期間」といいます)とします。なお、最初の対象期間は、2023年3月31日で終了する事業年度から2025年3月31日で終了する事業年度までの3事業年度(以下「CS B2024期間」といいます)とします。
当社は、対象期間において、2億2千万円に当該対象期間の年数を乗じた金額(CS B2024期間においては6億6千万円)を上限とする金員を、取締役等への報酬等として拠出し、受益者要件を充足する取締役等を受益者として対象期間に相当する信託期間の本信託を設定します。
本信託は、信託管理人の指図に従い、信託された金員を原資として当社株式を当社(新株発行または自己株式の処分)または株式市場から取得します。
当社は、信託期間中、取締役等に対するポイント(下記(3)に定めます)の付与を行い、本信託は、あらかじめ定められた一定の時期に付与されたポイントの累積値に相当する当社株式等の交付等を行います。
なお、本信託の信託期間満了時において、新たな本信託の設定に代えて信託契約の変更および追加信託を行うことにより、本信託を継続することがあります。その場合、その時点において当社が制定している中期戦略等の計画期間(連続した事業年度)が新たな対象期間となり、本信託の信託期間も当該新たな対象期間と同一期間延長します。当社は延長された信託期間ごとに、2億2千万円に当該新たな対象期間の年数を乗じた額の範囲内で追加拠出を行い、引き続き延長された信託期間中、取締役等に対するポイントの付与を継続します。ただし、かかる追加拠出を行う場合において、延長する前の信託期間の末日に信託財産内に残存する当社株式(取締役等に付与されたポイントに相当する当社株式等で交付等が未了であるものを除く)および金銭(以下「残存株式等」といいます)があるときは、残存株式等の金額と追加拠出される信託金の合計額は2億2千万円に当該新たな対象期間の年数を乗じた額の範囲内とします。
信託期間の満了時に信託契約の変更および追加信託を行わない場合で、受益者要件を満たす可能性のある取締役等が在任しているときは、それ以降、取締役等に対するポイントの付与は行われませんが、当該取締役等が退任し、当該取締役等に対する当社株式等の交付等が完了するまで、最長で10年間、本信託期間を延長させることがあります。
(3)取締役等に交付等することを決定できる当社株式等の数の上限等
取締役等に対して交付等が行われる当社株式等は、以下のポイント付与ルールに従い事業年度ごとに取締役等に付与されたポイントの累積値(以下「累積ポイント数」といいます)に応じ、1ポイントにつき当社株式1株として決定します(小数点以下は四捨五入するものとします)。
なお、取締役等が対象期間中に国内非居住者となった場合には、国内非居住者となっている間は本制度に基づくポイントを付与せず、本制度に代えて、本制度に基づく株式報酬額に相当する金銭(ファントムストック)を、本制度に準じて計算の上、退任時に支給するものとします。
また、当社株式について信託期間中に株式分割または株式併合等を行った場合には、当社株式の分割比率または併合比率等に応じて、1ポイントあたりの当社株式数を調整します。
[ポイント付与ルール]
取締役等には、役位に応じて設定される株式報酬基準額を基準株価*1で除して得た数のうち、50%を固定ポイントとして、50%を業績連動ポイントとして事業年度ごとに付与し、それぞれ累積加算します。
業績連動ポイントは、対象期間ごとの累積値に対象期間における目標達成度*2に応じて業績連動係数を乗じ、一定の範囲で変動します*3。なお、対象期間の途中で退任し、死亡し、または国内非居住者となった取締役等については、当該時点での累積値に当該時点における業績目標達成度に応じて業績連動係数を乗じます。
*1 2022年7月(信託期間の延長が行われた場合には、延長時の前月)の東京証券取引所における当社株式の終値の平均値(小数点以下は四捨五入するものとします)
*2 CS B2024期間においては、目標達成度を測る指標は、対象期間の最終事業年度(中期戦略の計画期間の最終事業年度)における連結売上収益、連結当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益を指します)、CO₂削減度およびTSR(株主総利回り)とします。CS B2024期間以降に開始する対象期間については、取締役会において別途決定いたします。
*3 CS B2024期間においては、0%~150%の範囲内で変動するものとします。CS B2024期間以降に開始する対象期間については、取締役会において別途決定いたします。
本信託の信託期間ごとに取締役等に交付することを決定できる当社株式数の上限は、11万ポイント(11万株相当)に対象期間の年数を乗じたポイント数に相当する株式数とします。そのため、最初の対象期間である、2023年3月31日で終了する事業年度から2025年3月31日で終了する事業年度までの3事業年度において取締役等に交付することを決定できる当社株式数の上限は、33万ポイントに相当する株式数(33万株相当)となります。
当該上限は、上記(2)の当社が拠出する金員の上限を踏まえて、当社取締役会が本議案を付議することを決定した時点の株価等を参考に設定したものであります。
(4)取締役等に対する当社株式等の交付等の時期および方法その他株式の交付条件の概要
一定の受益者要件(取締役等を退任すること、非違行為がないこと等)を満たす取締役等は、退任後に、上記(3)に基づき算定される累積ポイント数の70%に相当する株数の当社株式(単元未満株式については切り捨て)の交付を受け、残りの累積ポイント数に相当する株数の当社株式については、本信託内で換価した上で、その換価処分金相当額の金銭の給付を受けるものとします。
また、信託期間中に受益者要件を満たす取締役等が死亡した場合は、その時点で有する累積ポイント数に応じた数の当社株式について、本信託内で換価した上で、その換価処分金相当額の金銭について、当該取締役等の相続人が本信託から給付を受けるものとします。
なお、本制度の対象となる取締役等に重大な不正・違反行為が発生した場合、または会計上の誤り・不正による会計処理等が発生した場合は、報酬委員会の答申および取締役会の決定に基づき、本制度における当社株式等の交付等を行わず、また、当該取締役等に対し交付等した当社株式等の返還請求または当社株式等相当の金銭の賠償請求を行うことができるものとします(詳細は25頁~28頁記載の「(ご参考)取締役等の報酬等の決定方針および決定方法に関する事項(第5号議案および第6号議案が承認された場合)7.」をご参照ください)。
(5)本信託内の当社株式に関する議決権行使
本信託内にある当社株式(すなわち上記(4)により取締役等に交付等が行われる前の当社株式)については、経営への中立性を確保するため、信託期間中、議決権を行使しないものとします。
(6)本信託内の当社株式の配当の取扱い
本信託内の当社株式にかかる配当は、本信託が受領し、本信託の信託報酬・信託費用に充当されます。
(7)その他の本制度の内容
本制度に関するその他の内容については、本信託の設定、信託契約の変更および本信託への追加拠出の都度、取締役会において定めます。
(参考)本制度の詳細につきましては、2022年5月11日付「当社取締役等に対する業績連動型株式報酬制度の導入に関するお知らせ」をご参照ください。(URL:https://download.brother.com/pub/jp/news/2022/20220511-001.pdf)
(ご参考)取締役等の報酬等の決定方針および決定方法に関する事項
(第5号議案および第6号議案が承認された場合)
当社は、2021年3月2日開催の取締役会において、「取締役等の報酬の決定に関する方針」を定めており、その概要は事業報告(49頁~52頁)に記載のとおりでありますが、第5号議案および第6号議案をご承認いただいた場合は、以下のとおり当該方針を変更いたします。
1. 役員報酬制度の概要
当社は、持続的な企業価値の向上という目的にかなう社内外の優秀な経営人財の確保と保持を可能とする役員報酬体系を定め、その職責および成果に応じた適正な水準の報酬額の支給を行うことを方針とする。
当社の取締役報酬は、次の①~③にて構成する。
①「基本報酬」:
取締役全員を対象とした固定金銭報酬とする。
②「年次賞与」:
執行役員を兼務する常勤取締役のみを対象とした、当該事業年度の業績に連動する金銭報酬とする。
③「株式報酬」:
社外取締役および非常勤取締役を除く取締役を対象とした、中期業績等に連動する株式報酬(対象者が国内非居住者の場合は金銭による代替報酬)とする。
常勤取締役のうち執行役員を兼務しない取締役(社外取締役を除く)には、基本報酬および株式報酬のみを支給する。社外取締役および非常勤取締役には、基本報酬のみを支給する。
すべての取締役報酬の金額または算定方法は、当社の取締役報酬規則および株式交付規則(以下総称して「取締役報酬規則等」という)にその詳細を定めることで客観性と透明性を確保する。なお、取締役報酬規則等の改定は、報酬委員会の審議および取締役会の決議を要する。
当社の監査役報酬は、固定金銭報酬である基本報酬のみとし、監査役会で定める監査役報酬規則にて定める。
2. 取締役の基本報酬の額および支給時期の決定に関する方針
取締役の基本報酬は、年額・月払いの固定金銭報酬とし、株主総会で承認を得た報酬限度額内において、取締役の役位・職責に応じて決定する。
3. 年次賞与にかかる業績指標の内容、報酬等の算定方法および支給時期・条件の決定に関する方針
年次賞与は、事業年度ごとの業績を反映した金銭変動報酬とし、報酬委員会の答申および取締役会の決議に基づき、原則として毎年一定の時期に支給する。
年次賞与は、以下に定める算定方法により算定する。ただし、各事業年度の年次賞与支給総額は、当該事業年度の連結当期利益の額の0.4%を上限とし、もし以下の算定の結果、支給総額が当該上限額を超えることとなった場合は、上限額の範囲内とするための調整を行う。
(1)支給対象取締役の役位に応じた「基準ポイント」の総和、およびあらかじめ定めた「基準ポイント単価」・「基準売上収益」・「基準当期利益」に基づき、「割当率」を決定する。
(2)(1)の「割当率」に基づき、以下の算式により当該事業年度の年次賞与総原資を算出する。
総原資1=連結当期利益×割当率×1/2
総原資2=連結当期利益×割当率×1/2×売上調整係数(上記)
賞与総原資=総原資1+総原資2
(連結売上収益5,000億円未満の場合、総原資2はゼロ)
(3)賞与総原資を、各支給対象取締役の役位ごとの基準ポイントに応じ比例按分し、各支給対象取締役の個人別仮分配額を算出する。
(4)代表取締役社長は、自らを除く支給対象取締役ごとにその個人別仮分配額の10%を上限とした特別加算を提案することができる。
(5)報酬委員会において支給対象取締役ごとの個人別仮分配額および特別加算の合計額ならびに支給総額を審査した後、取締役会に個人別の年次賞与支給額案を上程し、取締役会の決議によりこれを各支給対象取締役に支給する。
注 「連結当期利益」は「親会社の所有者に帰属する当期利益」を指す。
4. 株式報酬の内容、業績指標の内容、算定方法および支給時期・条件の決定に関する方針
株式報酬は、当社の中長期的な企業価値向上に資するため、中期戦略等の目標達成度および株主価値の向上度に連動する変動報酬とする。株式報酬は、株式交付信託の仕組みを活用し、当社が金銭を拠出した信託を用いて支給対象取締役に株式等を交付する。
取締役が株式報酬として株式等の交付を受ける時期は、原則として取締役の退任後とする。
株式報酬として交付される株式等は、以下に定める方法により算定する。
(1)各取締役の役位に応じてあらかじめ定める株式報酬基準額を基準株価で除した数の50%を固定ポイント、50%を業績連動ポイントとして、中期戦略等の対象期間(以下単に「対象期間」という)における事業年度ごとに各対象取締役に付与し、累積加算する。
(2)対象期間終了後、各取締役の業績連動ポイント累積数を以下の指標・重み・目標達成度に応じて、それぞれ以下の業績連動係数を乗じて、交付ポイント数を算出する。
(3)株式報酬の受給資格を満たす取締役は、退任後に上記(1)(2)に基づき付与された累積ポイント数の70%に相当する当社株式の交付を受け、残りのポイント数に相当する金銭の給付を受ける。
5. 報酬等の種類毎の取締役の個人別の報酬等の構成割合の決定に関する方針
執行役員を兼務する常勤取締役の個人別の報酬等の構成割合は、年次賞与の指標となる短期の業績目標および株式報酬の指標となる中期の業績目標どおりの実績値となったときに、基本報酬(固定):年次賞与(業績連動):株式報酬(業績連動)=概ね5:3:2とする。
執行役員を兼務しない常勤取締役(社外取締役を除く)の個人別の報酬等の構成割合は、株式報酬の指標となる中期の業績目標どおりの実績値となったときに、基本報酬(固定):株式報酬(業績連動)=概ね3:1とする。
取締役の役位別・種類別の報酬等および報酬総額の支給水準については、毎年定期的に外部調査機関による客観的報酬水準データを参照のうえ、報酬委員会においてその妥当性を検証する。
6. 個人別の報酬等の内容の決定方法
(1)基本報酬は、取締役会において定めた取締役報酬規則に従い、各個人別の役位に応じてその支給額を定める。
(2)年次賞与は、取締役報酬規則に従い算定された各個人別の支給額および支給総額の正当性・妥当性を報酬委員会において検証した後、取締役会において支給対象取締役ごとの個人別の支給額を決定する。
(3)株式報酬は、業績指標の目標達成度について報酬委員会でその妥当性を確認した後、取締役会において定めた株式交付規則に従い各個人別の支給額を定める。
7. その他個人別の報酬等の内容の決定に関する重要な事項
年次賞与および株式報酬については、対象取締役による非違行為等、または会計不正等が発生した場合、報酬委員会の答申および取締役会の決定に基づき、支給済み報酬の全部または一部の返還等を求めることができる。