第5号議案 自己株式取得の件

1.議案の要領

会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を、株式総数6,360,000株、取得価額の総額27,000,000,000円を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。


2.提案の理由

当社の保有する現金及び預金と有価証券、投資有価証券の合計から借入金と社債(転換価格を下回っている転換社債型新株予約権社債を含む)を差し引いた金額である当社の純財務資産は2023年9月末時点で1,156億円と計算され、2023年9月末時点の時価総額の40%を超える規模となっております。必要資金を超えた現金資産の積み上げは資本効率の低下・企業価値の毀損につながります。当社の過去5年間平均のROEは5%台と過大な現金資産の保有がROE低下の要因となっており、株主還元をさらに拡充しROEの向上を目指すべきです。そして、当社の純財務資産が1,156億円であることを考えれば、弊社の提案による270億円を限度とする自己株式取得を実施したとしても、将来のM&A・設備投資・研究開発資金、さらには予期せぬリスクへ備えるための必要な資金を十分に確保することが可能であると考えます。よって、株主還元の拡充および資本効率の向上を図るため、当社が発行済株式総数(自己株式を除く)の約10%を自己株式として取得する施策を採用すべきと考えます。

3.第5号議案に対する当社取締役会の意見

取締役会としては、本議案に反対いたします。


当社は、当社のパーパスである『すこやかな毎日、ゆたかな人生』の実現に向けた価値創造を強化し、利益を継続的に成長させ、中長期的な企業価値の向上を実現するためには、「成長投資」「事業運営資金」「株主還元」にバランスよく資金配分することが極めて重要であると考えており、現中期経営計画期間において、手元資金及び営業キャッシュ・フローを成長分野・成長市場への投資や事業戦略を達成するための研究開発やデジタル等への投資や価値創造のための出資に500億円、既存事業への通常設備投資に300億円、株主還元等に200億円、転換社債型新株予約権付社債の償還に300億円を配分することを計画し、成長のための投資と安定的な株主還元を両立しながら実施することを公表しております。

当社は、このような方針のもと、中長期的な当社の経営戦略や経営環境を踏まえ、年間配当金を決定し、安定的な配当を含めた株主還元の強化を図っております。なお、これまでの当社株主還元実績は下表のとおりであり、2023年度については、1株当たり年間配当金80円(連結配当性向36.0%)としております。

一方で、本株主提案は、1年以内に株式総数6,360,000株、取得価格の総額270億円の自己株式取得を求めるものであり、当社の2023年度の親会社株主に帰属する当期純利益が141億円であることを踏まえると、自己株式の取得価格総額は約2倍と過大な水準であり、かつ本定時株主総会終結から1年以内という短期間での実施を求めるものであることから、短期的な視点に立脚しているものと考えざるを得ません。このような議案が可決されれば、「成長投資」「事業運営資金」「株主還元」のバランスが大きく損なわれ、当社の中長期的な企業価値の向上及び株主共同の利益を毀損するおそれがあると考えられます。

以上から当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。

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