第7号議案 株主資本コストに関わる定款変更の件【株主提案】

議案の要領

現行の定款「第7章 計算」に以下の条文を新設する。

第●条(株主資本コストの開示)

当会社は、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書において、当報告書提出日から遡る3か月以内において当会社が把握する株主資本コストを、その算定根拠とともに開示する。

提案の理由:

議題3 株主資本コストに関わる定款変更の件

株式会社東京証券取引所は、2023年1月30日開示の「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理」と題する資料において、「経営者に対して、自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その状況や株価・時価総額の評価を行ったうえで、必要に応じて、改善に向けた方針や具体的な取組などを開示することを促していくことにより、それをきっかけとした対話の促進や、経営者のリテラシー向上を図っていくことが考えられる。」と記載しています。


貴社は、議題2でご説明をさせていただいた通り、有利子負債がない反面、現預金及び投資有価証券の合計額は123.7億円と、総資産168.6憶円の73%に上り、それに対し純資産についても総資産の84.5%に上ります。このバランスシート運営が資本コストとの見合いの観点において、貴社がどのように評価されているか株主及び市場との建設的な対話の重要な指標として、資本コストの開示が必要なものであると考えます。

【第7号議案についての当社取締役会の意見】

当社は、コーポレートガバナンス・コードの原則5-2に従い、自社の資本コストを的確に把握したうえで、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、経営戦略や経営計画を策定・公表しており、その中で、収益力・資本効率等に関する目標を提示しております。

当社は、当社の中長期的な企業価値の向上を図るためには、本中期経営計画を実現することが最善の方策であると考えております。本中期経営計画においては、既存分野の新規開拓を主軸として営業利益の継続的な拡大と、株主資本利益率の向上を目指すこととし、当社事業から生み出された資本を分母とした株主資本利益率を重要な指標として選定し、その目標を資本コストも踏まえて10%とすることを掲げております。このように、当社は、事業運営にあたっては、資本コストを強く意識したうえで、株主資本利益率の向上目標を設定し、当社の企業価値向上に努めていくことを対外的にも明確にしております。

これに対し、本株主提案に基づく定款規定は、当社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書において、当社が把握する株主資本コストをその根拠とともに開示することを求めるものです。

しかしながら、資本コストは、その算出方法が様々であるほか、算定の基礎となる数値の採用においても、一定の前提を置く必要があるなど、その値は一義的に定まるものではありません。その考え方は、株主様や投資家の皆様の間においても多様なものでありうるため、当社としては、その数値を公表したとしても、必ずしも株主・投資家の皆様との建設的な対話に資するものではないと考えており、かえって株主・投資家の皆様の誤解を招くおそれもあるものと認識しております。また、当社は、コーポレートガバナンス・コードの原則5-2においても、資本コストの数値を正確に算出し、算定根拠とともに開示することが求められているものではなく、あくまで、資本コストを的確に把握したうえで、経営戦略や経営計画を策定し、事業運営にあたることが求められているものと認識しております。さらに、同原則5-2や提案株主が言及されている、東京証券取引所が公表した「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理」(2023年1月30日)及び「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」(2023年3月31日)においても、資本コストの開示が求められていないことは同様であり、その把握についても、現状分析を目的にしているものであることから、必ずしも精緻に算出することが目的ではないとされている旨理解しております。

以上のとおり、当社取締役会としては、資本コストを開示していくか否かに関しては、その要否、時期、方法等を含めて、株主様との対話の状況や当社の経営戦略とその遂行状況、さらには当社が置かれた経営環境等を踏まえて、その都度決定すべき事項であり、これを一律に開示する旨を定款に規定することは適切ではないと考えております。

以上の理由により、当社取締役会としては、本議案に反対いたします。

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