第5号議案 取締役2名解任の件

<株主提案>

第5号議案から第8号議案は、株主様からのご提案によるものであります。

提案株主から提出された議案の要領、提案の理由及び候補者の略歴等は、別紙に原文のまま記載しておりますのでご参照ください。

本株主提案に対する当社取締役会の意見

当社取締役会は「第5号議案から第8号議案」に反対しております。

当社取締役会の意見の概要は、以下のとおりとなります。詳細につきましては、第5号議案から第8号議案に対する当社取締役会の意見に記載しております。また、以下の当社開示資料もご参照ください。

https://www.ainj.co.jp/corporate/ir/library/general-meeting.html


1.はじめに

2024年6月12日に開催した決算説明会にてもご紹介したとおり、当社グループは、2024年4月期において修正計画を達成し、対前期比においても連結売上高で111.5%、連結営業利益で127.7%を達成するなど、過去最高の実績を残すことができました。これもひとえにお客様、お取引先様、また株主及び従業員の皆様のご支援の賜物であり、厚く御礼申しあげます。

当社グループでは、引き続き、調剤薬局を中心とするファーマシー事業及び高付加価値で特徴的な店舗展開を中心とするリテール事業を礎に、「この街にアインがあって良かった」と感じていただける企業を目指し、あらゆるステークホルダーにとって、名実ともに「いちばん」のグループを目指してまいります。

2025年4月期においては、引き続き積極的な出店を計画(1,312店舗→1,384店舗)し、M&Aを含めた投資を通じて、将来の着実な成長に向けて邁進してまいります。引き続き、ご支援のほど賜りますよう、お願い申しあげます。

このような着実な成長と発展の過程にある当社に対して、提案株主は、当社の社外取締役の解任と、当社の社外取締役候補者の推薦を中核とする議題及び議案を提案しています。

しかしながら、このように当社の取締役会は着実な実績を残しており、また、その時々に生じる諸問題に対しても、適切に対応して参りました。当社取締役会がベストと考える役員陣で、引き続き当社の経営に邁進させていただきたく、当社取締役会は、株主提案議案にいずれも反対いたします。

株主の皆様におかれましては、当社取締役会を信任いただき、会社提案議案に賛成いただくとともに、株主提案議案には反対をいただきますよう、お願い申しあげます。


2.各議題・議案に対する取締役会意見の要旨

(1)提案株主は、第5号議案として、当社の独立社外取締役である伊藤順朗氏(以下「伊藤取締役」といいます。)及び山添茂氏(以下「山添取締役」といいます。)は「独立性を欠」いており、両名が当社の独立社外取締役を務めることは「当社にとって有害」であるため、「即刻解任」すべきと主張しています。

しかしながら、以下で述べるとおり、伊藤取締役及び山添取締役は独立性を有しており、また、両取締役はそれぞれの知見を活かして当社の企業価値向上と株主共同の利益確保に確実に貢献しているのであって、両取締役を「即刻解任」すべき理由などありません。

とりわけ、提案株主は、「長きに亘って実質的な独立性を欠く者が「独立」社外取締役を務めてきた中で今般のような不祥事が起きたことを踏まえると、業務資本提携先(※原文ママ)の出身者以外の者の中から、当社と特別の利害関係がなく、かつ関連領域の高い専門性と経験を有しており、当社の企業価値向上に貢献する者を当社の社外取締役に選任する必要性が特に高まっている」と述べていますが、2020年11月にKKR札幌医療センターが行った敷地内薬局整備運営事業者の企画競争による公募型プロポーザル方式の案件に関し、当社グループの役員(なお、現時点では退任しております。)が公契約関係競売等妨害罪の容疑で逮捕され、第1審判決において有罪判決を受けた件(以下「本件事案」といいます。)は「業務資本提携先(※原文ママ)の出身者」が社外取締役を務めていることや社外取締役の独立性を原因として生じたものではあり得ず、提案株主の主張は、両取締役を解任する理由になりません。また、全社外取締役のうち、伊藤取締役及び山添取締役のみを解任することを求めている理由についても、全く明らかでないところです。

本件事案のようなコンプライアンス事案が発生したことは、当社にとって痛恨の極みであり、重ねて深くお詫びを申しあげると共に、二度と同様の事態を引き起こさないために当社グループが行うべきことを検証・実行し、不断の見直しを続けていく所存です。そのために、第6号議案に対する当社取締役会意見1.及び2.に記載のとおり、当社として第三者による調査を実施するとともに、再発防止のための徹底した取り組みを行っておりますが、こうした対応を取締役会として意思決定し、監督していく観点でも両取締役は適切に役割を果たしてきました。

以上の理由から、当社取締役会は、伊藤取締役及び山添取締役の解任議案(第5号議案)に反対いたします。

なお、第5号議案に対する当社取締役会意見1.で述べるとおり、伊藤取締役及び山添取締役は、本株主総会の終結のときをもって任期満了により退任予定であるため、両取締役を本株主総会において解任する実質的な意義も認められません。

(2)提案株主は、第6号議案として、本件事案に対する外部弁護士で構成される調査チーム(以下「社外調査チーム」といいます。)による調査(以下「本件調査」といいます。)の客観性、中立性、専門性に疑義を示しつつ、当社と特別の利害関係がなく、かつ関連領域の高い専門性と経験を有し、当社の企業価値向上に貢献する者を社外取締役に選任する必要性が高いとして、4名の候補者(以下「提案株主側候補者」といいます。)を当社の社外取締役とすることを提案しています。
しかしながら、本件調査は、当社グループの役職員を一切含まない社外の専門性、経験のある弁護士のみによって構成されたチームが、その調査範囲も自ら何らの制約も受けずに決定し、またその調査方法も限定せず、時間をかけて実施したものであり、その客観性、中立性、専門性には疑いを容れる余地がありません。また当社グループも当該調査に全面的に協力しており、その客観性、中立性、専門性を疑われるべき事情のないものです。提案株主が本件事案についてあたかも問題のある調査が行われたかのような評価を示すことは、一方的かつ誤導的な評価を示す意図の現れにほかなりません。
このように、提案株主がそもそもの前提に掲げる事実や評価が誤りであることに加えて、当社の指名・報酬等諮問委員会が提案株主側候補者4名全員との直接のインタビューも行った上で検討したところ、提案株主側候補者4名は、それぞれ、その知見を高く評価されるべき人材ではあったものの、すべての候補者において上場会社の社外取締役の経験がなく、かつ当社や当社の属する業界についての知見には乏しい中で、当社の社外取締役として活動いただくための前提には不足があると評価せざるを得ないことや、当該取締役候補者が当社社外取締役となった場合には当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者に重複が生じることとなることなどを踏まえて、当社取締役会では、当社取締役会が本株主総会に付議する社外取締役候補者こそが最善の候補者であると判断しました。また、当社では、本件事案を踏まえて、本株主総会において監査役会の体制整備もお諮りしています。
以上の理由から、当社取締役会は、提案株主側候補者4名の社外取締役の選任議案(第6号議案)に反対いたします。
(3)提案株主は、第7号議案及び第8号議案として、社外取締役の個人別報酬額を株主総会で定めること、また、社外取締役に対する株式報酬を支給するための手当をすることを提案しています。しかし、当社では、株主総会の決議に基づき取締役会及び指名・報酬等諮問委員会での議論を経て、役位別の月額報酬の金額範囲、賞与に関する業績等の評価の内容、役位別の非金銭報酬額に関する原案を策定し、委任を受けた代表取締役社長が具体的な支給額を決定することとしており、そのような検討の結果、社外取締役に対して株式報酬を支給することとはしておりません。
経済産業省が公表したガイドラインでも触れられているとおり、当社でも、社外取締役の負担や責務は様々であり、それらに応じて適切な水準の報酬が設定されることが重要であると考えており、一律に株主総会において具体的な支給額を決定することは妥当でないと考えます。また、社外取締役に対する株式報酬の設定の是非をめぐっては世界的にも多くの議論があるところと承知しており、当社においても、現段階においては、それを支給することが妥当であるとは考えておりません。
以上の理由から、当社取締役会は、社外取締役の個人別の固定報酬額を株主総会で決定する旨の議案(第7号議案)、及び、社外取締役に対する譲渡制限付株式付与のための報酬決定をする旨の議案(第8号議案)について、いずれも反対いたします。

以上の反対理由につきましては、第5号議案から第8号議案の各議案に対する当社取締役会意見に詳細な説明をしておりますので、そちらも是非ご覧下さい。

当社グループ一同、あらゆるステークホルダーのご期待に応えていくよう、全力を尽くしてまいります。
株主の皆様におかれましては、引き続き当社取締役会を信任いただき、当社の健全で持続的な企業価値の向上にご期待いただきますよう、お願い申しあげます。

(ア)議案の要領

取締役 山添茂氏(候補者番号1)及び取締役 伊藤順朗氏(候補者番号2)を解任する。

(イ)提案の理由

別紙記載の通り。

第5号議案に対する当社取締役会の意見

当社取締役会は「第5号議案」に反対しております。


1.両取締役の活動状況及び当社の企業価値向上・株主共同の利益確保への貢献について

(1)伊藤取締役の活動状況及び当社の企業価値向上・株主共同の利益確保への貢献

伊藤取締役は、グローバルに展開する我が国有数の大手小売事業者である株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下「セブン&アイ・ホールディングス」といいます。)の代表取締役・最高サステナビリティ責任者として、長年に亘り同社の経営をリードし、豊富な経営経験を有しています。とりわけ、ESGに関する幅広い知見を有しているほか、リスクマネジメント、会計・ファイナンス、ソーシャルマーケティング等についても幅広い知見を有しており、実際にも、例えば当社グループの各店舗運営上の合理化策などについて、実質的に経営に対する助言と監督を行っており、当社の企業価値向上に多大なる貢献を果たしています。

加えて、伊藤取締役は当社取締役会においても積極的な意見表明を通じ、当社取締役会の業務執行に対する監督・牽制機能にも十分に寄与しています。これまで伊藤取締役は、当社取締役として、資本業務提携先であるセブン&アイ・ホールディングスの利益を優先する行動など一切採っておらず、一般株主の利益に十分に配慮した活動を行っています。

なお、伊藤取締役は、本株主総会終結のときをもって当社取締役を任期満了により退任予定です。

(2)山添取締役の活動状況及び当社の企業価値向上・株主共同の利益確保への貢献
山添取締役は、長年に亘り大手商社の経営に携わり、グローバルな経済活動に対する幅広い知見を有しており、とりわけ、当社の経営戦略面や財務・金融面に対する実効的な助言と監督を行っており、当社の企業価値向上に多大なる貢献を果たしています。また、当社取締役会においても執行に対する意見を忌憚なく述べるなど、業務執行に対する監督・牽制機能も十分に果たしてまいりました。
なお、山添取締役は、本株主総会終結のときをもって当社取締役を任期満了により退任予定です。

2.両取締役の独立性について
当社では、独立社外取締役候補者の選任に当たっては、会社法上の社外性要件に加え、会社経営等における豊富な経験と高い見識も重視しております。また、その独立性の評価にあたっては、これを客観的に判断するため、独自に「社外取締役及び社外監査役の独立性に関する判断基準」(以下「当社独立性基準」といいます。)及び「株主の議決権行使の判断に影響を及ぼす恐れがないものと判断する軽微基準」(以下「当社軽微基準」といいます。)を定めております。
当社独立性基準及び当社軽微基準は、「独立役員の確保に係る実務上の留意事項(2024年1月改定版)」に記載の独立性基準(以下「東証基準」といいます。)をより具体化したものであり、当社取締役会としては、これらの基準に基づき社外取締役の独立性を評価することには合理性と客観性が十分に認められると判断しています。
伊藤取締役及び山添取締役は東証基準並びに当社独立性基準及び当社軽微基準のいずれにも抵触しておらず、当社は両取締役を東京証券取引所の定める独立役員に指定しております。実際にも、1.で述べたとおり、両取締役は当社の業務執行に対する監督・牽制機能を十分に果たしており、経営から独立した立場に基づき活動しております。

3.提案株主が主張する解任理由の不当性
提案株主は、両取締役の解任を求める理由の中で、本件事案の発生を挙げています。しかしながら、伊藤取締役と山添取締役はそれぞれの知見・スキルに応じて適切に職責を全うしており、あたかも両取締役の独立性が本件事案の原因となったかのような主張は適切ではありません。一方的に当社社外取締役の独立性に疑義があるとした上で、独立性の問題を本件事案の発生と結びつける提案株主の論理には飛躍があり、これらは両取締役を解任する理由にはなりません。

4.結論
以上のとおり、当社としては、伊藤取締役及び山添取締役はいずれも社外取締役としての独立性を備えるとともに、その経歴やスキルに基づき十分かつ客観的な立場から業務執行に対する監督・牽制機能を発揮しており、また、両取締役は本株主総会の終結のときをもって任期満了により退任する予定であるため、解任する実質的な意義も認められません。
したがって、当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。

トップへ戻る