第6号議案 取締役4名選任の件

(ア)議案の要領

吉武 一(よしたけ はじめ)、前田 正吾(まえだ しょうご)、Alexander Dmitrenko(アレクサンダー ドミトレンコ)及び新森 健之(しんもり けんじ)の4名を取締役として選任する。

(イ)提案の理由

別紙記載の通り。

(ウ)候補者の略歴等

  • 1

    吉武(よしたけ)(はじめ)

    生年月日 1956年7月1日生
    所有する当社の株式数 0株
    略歴、地位、担当及び重要な兼職の状況
    1979年4月
    株式会社協和銀行(現:株式会社りそな銀行)入行
    1991年4月
    株式会社協和埼玉銀行 ニューヨーク支店 課長
    2002年4月
    日本ユニシス株式会社(現:BIPROGY株式会社)入社
    2007年10月
    明治大学専門職大学院 兼任講師(現任)
    2008年6月
    日本内部監査協会 理事(現任)
    2009年6月
    株式会社りそなホールディングス 執行役 内部監査部長
    2011年6月
    株式会社埼玉りそな銀行 常勤監査役
    2013年4月
    日本大学法学部 非常勤講師
    2016年6月
    太陽誘電株式会社 常勤社外監査役
    2021年5月
    特定非営利活動法人ジャパンプラットフォーム 顧問
    2023年7月
    The Institute of Internal Auditors, Inc. Special Advisor to International Internal Audit Standards Board
    2024年5月
    特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム 監事(現任)
    2024年7月
    The Institute of Internal Auditors, Inc. Institute Relations Committee Member(2024年7月就任予定)
    <重要な兼職の状況>
    明治大学専門職大学院 兼任講師
    日本内部監査協会 理事
    特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム 監事
    The Institute of Internal Auditors, Inc. Institute Relations Committee Member
    特別利害関係の有無 吉武 一氏と当社との間に、特別の利害関係はない。
    取締役候補者とした理由 吉武氏は、民間企業における長年に亘る監査役としての経験や、内部監査のプロフェッショナルとして教育機関での教職や日本内部監査協会の理事も歴任し、日本における内部監査及び関連する諸分野を牽引してきた。のみならず、大手金融機関や大手ITベンダーにおける勤務経験から融資、財務・金融やIT・DXに対する知見も豊富である。
    当社の取締役や子会社取締役が逮捕された事案について、その調査報告書において当該事案について、内部監査室が必要な監査や指摘をしてこなかったことが認定されるなど、内部監査を含めた全社的なコーポレート・ガバナンス体制の抜本的な改善が必要であるところ、吉武氏は、上記した長年に亘って培った内部監査を含む、コーポレート・ガバナンスに関する知見と経験を有し、当社の経営に対して有益な助言と監督機能を提供することが期待できる。
    以上の理由から、オアシスは、吉武氏を取締役候補者とすることを提案する。
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(注)吉武 一(よしたけ はじめ)氏は社外取締役候補者である。

  • 2

    前田(まえだ)正吾(しょうご)

    生年月日 1957年1月1日生
    所有する当社の株式数 0株
    略歴、地位、担当及び重要な兼職の状況
    1981年7月
    野村證券株式会社 入社 海外投資顧問室日本株アナリスト
    1985年10月
    マニュファクチュラーズ・ハノバートラスト
    ニューヨーク本店 インベストメントバンキンググループ
    1987年11月
    野村投資顧問株式会社(現:野村アセットマネジメント株式会社)
    1989年9月
    同社 シニアポートフォリオマネージャー
    1994年9月
    ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント 日本株式総責任者
    2002年4月
    同社 取締役アジア太平洋株式CIO兼日本株式ヘッド
    2006年1月
    シュローダー・インベストメント・マネジメント 日本株式運用統括
    2012年12月
    同社 取締役日本株式運用統括
    2018年3月
    公益財団法人グルー・バンクロフト基金 業務執行理事(現任)
    <重要な兼職の状況>
    公益財団法人グルー・バンクロフト基金 業務執行理事
    特別利害関係の有無 前田氏と当社との間に、特別の利害関係はない。
    取締役候補者とした理由 前田氏は、様々な金融機関において、取締役などの重要な役職を歴任し、金融全般、特に資本市場に対して深い知見を有する。
    当社の株価は、長きに亘って低迷し、株主総利回り(TSR)も中長期的にTOPIXを大幅に下回っている。また、当社においては取締役やその子会社の取締役が逮捕されるという異常事態にあっても、当該事案についてどのような調査が行われているのかなどについて投資家への適切な開示が遅れるなど、株主との対話が不十分であった。このような中で金融や資本市場に対して深い知見を有する前田氏は当社の経営に対して、特に適切なM&Aの実施や事業への投資だけでなく、業界再編の推進や対応が当社にとって重要な経営課題となる中で、企業価値向上に資する施策の検討や、株主との適切な対話などにおいて、当社に対して有益な助言と監督を提供することが期待できる。
    以上の理由から、オアシスは、前田氏を取締役候補者とすることを提案する。
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(注)前田 正吾(マエダ ショウゴ)氏は社外取締役候補者である。

  • 3

    Alexander(アレクサンダー)Dmitrenko(ドミトレンコ)

    生年月日 1977年5月25日生
    所有する当社の株式数 0株
    略歴、地位、担当及び重要な兼職の状況
    2001年3月
    Roy Elliott O‘Connor LLP 入所
    2006年10月
    Dewey & LeBoeuf LLP 入所
    2009年10月
    双日株式会社 入社
    2013年7月
    Debevoise & Plimpton LLP 入所
    2015年9月
    Freshfields Bruckhaus Deringer LLP 入所
    2019年10月
    同所 Counsel 兼 Head of Asia Sanctions
    2019年11月
    テンプル大学法科大学院コンプライアンス・倫理センターアジア諮問委員会 ジャパン・サブコミッティ 議長(現任)
    2020年1月
    同大学ジャパンキャンパス Adjunct Professor(現任)
    2021年5月
    Freshfields Bruckhaus Deringer LLP Head of Sanctions
    2021年11月
    Ashurst 次期パートナー
    2022年1月
    同所 パートナー(現任)
    <重要な兼職の状況>
    テンプル大学ジャパンキャンパス Adjunct Professor
    テンプル大学法科大学院コンプライアンス・倫理センターアジア諮問委員会 ジャパン・サブコミッティ 議長
    Ashurstパートナー
    特別利害関係の有無 ドミトレンコ氏と当社との間に、特別の利害関係はない。
    取締役候補者とした理由 ドミトレンコ氏は、日本の国内外において20年以上に亘る弁護士等としての法務経験を有し、アジア全域の企業、特に日本企業に対して国際取引、コンプライアンスや危機管理のあらゆる観点についてアドバイスを行った豊富な経験を持ち、テンプル大学でも教鞭を取るなど、当該領域における多くの知見を持つ。当社はコーポレート・ガバナンス体制の抜本的な改善が要求されるが中(※原文ママ)、ドミトレンコ氏は法務のみならず、事業戦略上の観点からも有益な助言と監督機能を提供することが期待できる。
    加えて、性的マイノリティのための団体の代表理事や特定非営利活動法人東京英語いのちの電話の理事を務めるなど、各種非営利活動を通じて、ダイバーシティーや人権問題などにおいても多くの知見を持つことなどから、当社の事業とも関連性が高いこの領域においても当社への貢献も期待できる。
    以上の理由から、オアシスは、ドミトレンコ氏を取締役候補者とすることを提案する。
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(注)Alexander Dmitrenko(アレクサンダー ドミトレンコ)氏は社外取締役候補者である。

  • 4

    新森(しんもり)健之(けんじ)

    生年月日 1959年6月2日生
    所有する当社の株式数 0株
    略歴、地位、担当及び重要な兼職の状況
    1982年4月
    住友商事株式会社 入社
    2006年4月
    同社 人事部長
    2010年4月
    同社 ライフスタイル・リテイル事業副本部長
    2011年4月
    同社 ライフスタイル・リテイル事業本部長
    2014年4月
    同社 広報部長
    2018年4月
    同社 執行役員・広報部長
    2019年4月
    ジュピターショップチャンネル株式会社 代表取締役社長
    2020年4月
    住友商事株式会社 顧問
    2022年4月
    ジュピターショップチャンネル株式会社 特別顧問
    2023年11月
    スマイルシード協同組合 常務理事(現任)
    <重要な兼職の状況>
    スマイルシード協同組合 常務理事
    特別利害関係の有無 新森氏と当社との間に、特別の利害関係はない。
    取締役候補者とした理由 新森氏は、総合商社において長年に亘りコンシューマー事業を担当し、国内外での様々な形態でのコンシューマー事業における相当の経験と知見を有する。特に、住友商事のライフスタイル・リテイル事業本部長としてはドラッグストア事業であるトモズもその担当下に置くなど、当社の関連領域にも経験を有する。加えて、同社のコーポレート部門においても要職を歴任している。
    今般の不祥事によって、当社が戦略の柱としてきた院内薬局への注力について戦略的な見直しが必要となる可能性があり、また、当社の危機管理におけるステークホルダーとの対話の不十分さが指摘されている。このような中、新森氏はコンシューマー・医薬業界における知見や日本有数の大企業において広報部長等を歴任してきた経験から当社の経営や開示などに対して有益な助言と監督機能を提供することが期待できる。
    以上の理由から、オアシスは、新森氏を取締役候補者とすることを提案する。
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(注)新森健之(しんもり けんじ)氏は社外取締役候補者である。

第6号議案に対する当社取締役会の意見

当社取締役会は「第6号議案」に反対しております。


提案株主は、本件事案に対する社外調査チームによる本件調査について「真に客観性・中立性・専門性の確保された調査がなされた保証はない」とした上で、当社の「コーポレート・ガバナンス体制の抜本的な改善が喫緊の課題である」とし、「業務資本提携先(※原文ママ)の出身者以外の者の中から、当社と特別の利害関係がなく、かつ関連領域の高い専門性と経験を有しており、当社の企業価値向上に貢献する者」を社外取締役に選任する必要性が特に高まっていると主張しています。

しかしながら、そもそも当社が社外調査チームに要請した本件調査は、①調査主体に当社グループの役職員を一切含まず、②これまで当社グループとの間で顧問契約等の利害関係を一切有さず、かつ元最高検察庁検事等を歴任した高い専門性と職務規律を有する弁護士を筆頭主査として、複数の調査委員会の経験を豊富に有する弁護士を交えて組成された職業専門家により構成されたチームによって行われたものであり、③調査対象範囲を当社側で一切限定・制約することなく、社外調査チーム自らが必要と認めた事項の調査を、④デジタル・フォレンジック調査等を含めて、手段の限定を伴わずに約7ヶ月間にわたり綿密に実施いただいたものであって、客観性・中立性・専門性が確保されたものであることは言を俟ちません。当社では、調査を実施するにあたっては後述1.で述べるとおりその実質が重要なのであり、その呼称が「第三者委員会」であるのか「社外調査チーム」であるのかは積極的意義を有しないと考えています。

本件事案については刑事手続が進行中であり、当該手続における捜査や公判の進行に影響を及ぼさないよう配慮しつつ、以上のとおり、本件調査は適正かつ厳格に行われたものと認識しております。実際にも、社外調査チームからは、当社グループによる調査への協力不足等の指摘は受けておらず、また、当然のことながら、本件事案に係る調査報告書(以下「本件調査報告書」といいます。)の内容の作成に当社グループの役職員は関与しておりません。

その上で、以下で述べるとおり、当社の社外取締役としては当社取締役会が本株主総会に付議する候補者が最善であり、かつもっとも「当社の企業価値向上に貢献する」ことが期待できると考えております。

当社取締役会としては、後述3.のとおり指名・報酬等諮問委員会において取締役の候補者案について審議し、取締役会において同委員会からの答申も踏まえて討議した結果、会社提案に係る取締役候補者は、当社取締役会に新たな知見をもたらし、より一層の業績の向上、並びにコンプライアンス推進体制及びガバナンス体制の強化に向けた各種施策に寄与することが可能な候補者であり、また、本件事案も踏まえた「法務・コンプライアンス」を含む多様かつ十分なスキルを有するものであると考えています。各候補者は、それぞれの専門分野において確固たる実績を積み上げてこられただけでなく、他の上場会社における社外役員としての経験や、貴重な国際経験を有するなど、その資質も必要かつ十分です。

このように、当社取締役会が提案する取締役候補者から構成される取締役会は、当社の取締役会として求められるスキル・経験を備え、スキルマトリックスの観点からもバランスが確保されているだけでなく、十分な独立性を備え、実質的かつ活発な議論を行うために適正な人数規模であるとも判断しております。

他方、提案株主側候補者4名は、それぞれ、その知見を高く評価されるべき人材でありましたが、後に詳述するとおり、当該取締役候補者が当社社外取締役となった場合には当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者に重複が生じる結果となること、また、提案株主側候補者が社外取締役に選任された場合、当社取締役会が考える適正な取締役会の規模を逸脱することなどに加えて、すべての候補者において上場会社の社外取締役の経験がなく、かつ当社や当社の属する業界についての知見には乏しい中で、当社の社外取締役として活動いただくための前提には不足があると評価せざるを得ないこと、「当社の」社外取締役に就任することについての強い意欲が見受けられなかったことを含めた各候補者の個別の事情も勘案すると、当社の社外取締役として選任されることは、当社にとって望ましいこととはいえないと判断いたしました。

したがって、当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。

以下では、本株主提案の提案理由について、補足いたします。


1.本件事案の発生とその調査について

(1)2024年5月10日付「再発防止策の提言に関する特設サイトの開設ならびに役員報酬の自主返納について」のプレスリリース及び同日付当社ウェブサイト「外部専門家で構成された社外調査チームによる調査報告書と再発防止策の提言を踏まえての取り組み」において公表したとおり、本件事案が発生いたしました。

まずは、関係各位に対し、あらためて、本件事案の発生について当社取締役会として心よりお詫びを申しあげます。

(2)当社では、2023年8月31日における当該役員の逮捕を受けて、即日、外部調査の検討を開始し、同年10月5日に、上述のとおり当社と利害関係を一切有さず高い専門性と職業規律を有する5名の外部弁護士で構成される社外調査チームを立ち上げ、類似事案の存否を含め事実関係の調査、原因の究明、再発防止策の策定のために取り組んでおり、2024年5月9日、社外調査チームより、本件調査報告書を受領いたしました。

(3)本件調査報告書においては、本件事案が発生した原因として、経営陣・管理職の敷地内薬局事業における出店のための営業活動に関するリスクについての問題意識の不足(“意識”に関する原因)や、敷地内薬局事業における出店のための営業活動に関するリスクについての内部統制、リスクマネジメント体制の機能不全(“仕組み”に関する原因)が指摘されております。他方で、当社グループの内部統制・内部監査機能は、各店舗における業務に関するリスク管理、効率性、法令遵守等とその監査に集中的に振り向けられていたことが本件調査報告書でも指摘されており、当社グループにおけるグループ内部統制システムについて、その構築及び運用状況の監督が全般的に機能不全に陥っていた旨の指摘はされておりません。むしろ、本件調査報告書においても、たとえば、贈収賄・腐敗防止の取組みについては、国公立病院等の医師等、公務員等と接することの少なくない当社グループの事業との関係で、その遵守の重要さが意識され、そのための自制がよく徹底されていたと認定されています。

(4)なお、提案株主は、本件事案に関する社外調査チームによる調査について、「半年以上に亘りその事実を公表しなかった」こと、社外調査チームは「第三者委員会ではなく、客観性・中立性・専門性が確保された調査ではない」こと等を理由に、「社外取締役によるガバナンスが不十分であった」旨等を主張しています。しかしながら、以下の事実に照らせば、これらの主張はいずれも外形的・抽象的に論点を設定するために用いられているものであって、明らかに誤導的です。

・当社が本件事案に関する情報開示を控えていた理由は、当社の実施する調査及びその報告の内容が個人の刑事事件の裁判に影響することを懸念し、顧問弁護士の助言にも従ったものです。現に当社では、当該刑事事件の第一審判決が出た2024年4月18日と同日に、本件事案の経緯、本件事案について当社として社外調査チームを設置し、類似事案の存否を含め事実関係の調査、原因の究明、再発防止策の策定について取組み中であること及び今後の方針等について開示しております。その上で、当社は、社外調査チームから本件調査報告書を受領した同年5月9日、これを開示するとともに、同年5月10日に再発防止策の提言を踏まえての取り組み等について開示いたしました。このように、当社は、誤った情報や不正確な情報を公表することがないように細心の注意を払いつつ、法令等に従い公表すべき事象が発生するごとに開示を実施してまいりました。

・社外調査チームによる調査については、日本弁護士連合会の「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン(以下「第三者委員会ガイドライン」といいます。)」に準拠する場合には、その設置にあたり、調査結果を開示する時期等の開示が求められるところ、本件においては、当社の調査報告書の内容が個人の刑事事件裁判に影響を与える可能性に配慮して、その時期を明確にすることができなかったことから、第三者委員会ガイドラインに準拠しているという「形式」を採用しなかったに過ぎず、その他の点においては、第三者委員会ガイドラインにむしろ準拠した調査チームであり、本件調査及び本件調査報告書の内容は十分に客観性・中立性・専門性が担保されています。

2.本件事案に対する当社の考え方
(1)当社グループでは、人々の健康や美に貢献する事業を通じ、グループ・ステートメントでもある「お客様の元気と笑顔」を実現するため、ファーマシー事業(調剤薬局の経営及び調剤薬局開設に係るコンサルティング等に関する事業)やリテール事業(コスメ&ドラッグストアの経営等に関する事業)を主として展開しております。当社グループとしては、これらの事業のいずれもが人々の健康を担う事業であるという性質上、コンプライアンスを最重視した健全かつ透明性の高い事業活動を継続することが不可欠と認識しており、事業経営から独立した社長直轄の内部監査室が、実地監査も行って関係法令及び社内諸規則・ルールの遵守を徹底すべく活発に活動しているほか、企業倫理及び法令遵守体制を、経営陣はもとより全社員に広く浸透・定着させるための全取締役及び監査役等により組織されたコンプライアンス委員会や、CSR・ESG活動の更なる強化を図っていくためのサステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)などを設置し、コーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいりました。
(2)そのような中で本件事案のようなコンプライアンス事案が発生したことは、当社にとって痛恨の極みであり、重ねて深くお詫びを申しあげると共に、二度と同様の事態を引き起こさないためにこれから当社グループが行っていくべきことを検証・実行し、不断の見直しを続けていく所存です。具体的には、社外調査チームの調査結果や再発防止策の提言を踏まえ、2024年5月10日に再発防止策を策定し、これを着実に実行していく旨を開示致しました。再発防止策として、同年6月26日までの間にも、大要以下の各施策を実施しております(その他再発防止策の詳細は、当社ウェブサイト「外部専門家で構成された社外調査チームによる調査報告書と再発防止策の提言を踏まえての取り組み」をご覧ください。)。
・代表取締役社長である大谷喜一の指示の下、敷地内薬局事業にかかわる役職員に対して、同様の事象を二度と発生させないよう厳に具体的な業務改善を実施(公募型プロポーザル方式の提案を行うに際してのフロー見直しや禁止事項の設定)
・コンプライアンス推進体制の確立、浸透、定着を目的とするコンプライアンス委員会の役割と責任をより適切に果たしていくために必要な規程の改訂や監査体制の整備(特に、内部監査部門から監査役会等に対する直接のレポーティングラインの設定等)
・リスクマネジメント強化を目的として必要となるリスク管理規程の整備
・営業担当者向けの実務マニュアル(営業活動における公的な医療機関等への対応について記載したポケットマニュアル)の作成・配布
・当社グループの役職員に対する営業活動における法的留意点を含む社内勉強会の実施
(3)当社取締役会では、本件事案のような事態が発生した場合にそれを速やかに把握・評価し、再発防止策を策定して実行・検証していくことこそがコンプライアンスの問題とコーポレート・ガバナンスの問題が交錯する場面に求められる対応であると認識しており、当社といたしましては、株主の皆様のみならずお客様、お取引先様、従業員の皆様等のすべてのステークホルダーに対して、公平で透明性の高い情報開示を通じて当社グループの状況をご認識いただきながら、当社のコーポレート・ガバナンスが十分に機能していることをお示ししていくべき場面であると考えています。
既にこのような観点から、当社取締役会では、専門家の助言を受けつつ速やかなコンプライアンス推進体制のより一層の強化に着手しているほか、更に実効的なガバナンス体制の構築に向けて、本件事案の原因分析を進めるなどの施策を実行中ではありますが、より良いガバナンスを模索するプロセスにゴールはなく、不断の検討と改善を継続していく必要があることを改めて認識し、今後も、引き続き体制強化に取り組んでいく所存です。その一環として、弁護士資格を保有し、他社の社外取締役としてリスク案件レビューチームの経験等の法務・コンプライアンスに関する知見・経験を有する佐野綾子氏を含む社外監査役候補者の選任議案を会社提案として本株主総会に上程する旨を決定しており(詳細は第3号議案をご参照下さい。)、本株主総会終結のときをもって任期が満了する社外監査役を一新し、コンプライアンス事案である本件事案の再発防止策の実施等に対する監査役監査の拡充も実施することを予定しております。
(4)なお、提案株主は、本件事案により既に事業上の重大な悪影響が出ている旨の主張もしておりますが、これは事実誤認又は憶測であり、2024年6月26日現在、当社事業に実質的な悪影響は生じていませんので、ご留意ください。事実として、本件事案を経て、官公庁や自治体等によって指名停止措置が行われ、2023年12月1日時点で55件の指名停止措置を受け、一定期間その主体からの公募に参加ができなくなったという事態は発生したものの、2024年6月26日までには54件の指名停止措置が終了しており、かつ、この間に入札案件はなかったため、事業への実質的な影響はありませんでした。また、当社グループをご利用いただいているお客様やお取引先様についても、本件事案の報道以降も、特段の変化は生じておりません。引き続きご愛顧いただいているお客様・お取引先様に報いていくことができるように、当社グループ一同邁進する所存です。

3.当社の企業価値向上の観点からは、当社が提案する取締役候補者で構成される取締役会が適切かつ最善であることについて
(1)当社取締役会は、本件事案等を踏まえ、コンプライアンス推進体制及びガバナンス体制のより一層の強化、ひいては当社の企業価値向上のために、指名・報酬等諮問委員会において取締役の候補者案について審議した上で、取締役会において同委員会からの答申も踏まえて討議いたしました。
その結果、本株主総会においては、当社取締役会に新たな知見をもたらし、より一層の業績向上、並びにコンプライアンス推進体制及びガバナンス体制の強化に向けた各種施策に寄与することが可能な候補者として、第2号議案に記載の取締役候補者の選任に係る議案(以下「会社提案」といいます。)を上程する旨を決定いたしました。
なお、会社提案に係る取締役候補者が本株主総会において原案どおり承認可決された場合、当社取締役会が有するスキルマトリックスは、26ページから28ページに記載のとおりとなります。
(2)当社取締役会が本株主総会における取締役候補者を選定するにあたっての検討の方針及び過程は、以下のとおりです。
・経営陣幹部・取締役候補について、経営陣・取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスを考慮し、的確かつ迅速な意思決定が実施出来ること、並びに各個人として人望があり、法令及び企業倫理の遵守に徹する見識を有することを基準として、総合的に選解任・指名を判断します。また、取締役会は、取締役の選任について、会社の各機能と各事業部をカバーできるバランス、的確かつ迅速な意思決定のための適材適所の観点などを総合的に考慮し、多様性にも配慮するよう努めます。
・独立社外取締役の候補者選定にあたっては、第5号議案に対する当社取締役会意見1.及び2.のとおり独立性があり当社の企業価値向上に貢献が具体的に期待できる候補者を選定しているところ、本株主総会に上程する会社提案に係る取締役候補者についても、上述の方針に則り、指名・報酬等諮問委員会における審議を経て、2023年9月から2024年6月までの約10ヶ月に亘り、取締役候補者へのインタビュー等の必要な調査も行った上で当社の取締役会の構成及び必要人材について検討を重ねる等、当社の企業価値向上と株主共同の利益確保の観点から慎重な決定プロセスを経ました。
・当社の指名・報酬等諮問委員会は、取締役選解任に関する手続の公正性・透明性・客観性を強化することを目的として、代表取締役社長である大谷喜一を委員長とし、独立社外取締役である遠藤典子氏及び山添取締役を委員とする諮問委員会として設置されたものであり、同委員会は、過半数を独立社外取締役とすることで、独立性を確保し、的確な助言・提言をする体制を確保しております。
・当社提案議案を検討する過程においては、各提案株主側候補者とも指名・報酬等諮問委員会が面談を実施し、その知見や当社及び当社事業・業界に対する理解、提案株主との関係性や当社取締役に選任された場合の考え方等について直接インタビューを行い、それぞれの候補者に対する評価を検討しました。

(3)以上の基本的な方針及び過程並びに指名・報酬等諮問委員会の答申内容を踏まえ、当社取締役会において慎重に討議した結果、当社取締役会としては、第2号議案における各候補者が当社の取締役候補者として最善であると判断いたしました。

・会社提案に係る取締役候補者により構成される取締役会においても、取締役総数11名のうち5名が独立性を有する社外取締役であり(独立社外取締役比率は36%から45%に上昇)、従前に比し更に監督機能が強化され、取締役会における充実した議論を行うためには適切な規模と十分な監督機能を有しています。また、11名中4名が女性取締役となり、その場合、取締役会における女性取締役比率が36%と、2023年7月末時点の東京証券取引所プライム市場上場会社の平均値(約13.6%)を大きく上回るだけでなく、監査役を含めた役員(計14名)に対する割合では女性役員比率が43%となり、多くの女性が活躍する当社の役員としてより相応しい陣容に近づくことができます。

・会社提案に係る取締役候補者で構成される取締役会においても、引き続き、上場企業における経営経験、財務・金融、組織におけるガバナンスや人材育成に関する幅広い知見、ファーマシー事業やリテール事業に関する豊富なスキル・経験が確保されており、会社提案に係る取締役候補者の選任理由に記載のとおり、当社の中長期的な企業価値向上に向けた監督機能を発揮するために必要かつ十分なスキル・経験を備える構成です。

・更に、当社の経営体制強化のために高い優先度をもって求められる能力として、①本件事案等を踏まえた法務・コンプライアンスのより一層の強化、②ファーマシー事業やリテール事業を中核事業とする当社の中長期的な企業価値向上に向けて重要な意義を有するM&Aを含む投資意思決定等の財務戦略のスキル強化、③商品構成や売り場づくり等を他店と異なる唯一無二のスタイルにすることで事業拡大している「アインズ&トルペ」を軸に、堅調に成長しているリテール事業の更なる成長・拡大に向けた出店戦略や売り場づくりにおいて実質的な助言や監督をするスキル強化が挙げられます。会社提案議案では、①裁判官として長年の経験を有し、企業法務、労働問題にかかわる事案を含む多くの民事事件の解決にあたってきただけでなく、司法行政の経験を通じてコンプライアンス・ガバナンスの徹底、人事管理・人材育成、危機管理等の組織運営にも関わってきた実績を有する綿引万里子氏(以下「綿引氏」といいます。)、②M&Aアドバイザリー業務を統括した経験を経て、現在は大学院においてM&Aと企業価値評価等について教鞭をとっており、資本市場における企業価値評価に造詣があり、加えて、他の上場企業における社外取締役としての経験から、小売等の企業経営に関する深い知見を有する服部暢達氏(以下「服部氏」といいます。)、③大手小売業の取締役としての豊富な経営経験や当社のリテール事業に関連する知見を有するとともに、会計管理及び法務・コンプライアンス、リスク管理等にも幅広い知見・経験を有する木村成樹氏(以下「木村氏」といいます。)の3名を、新任の独立社外取締役候補者としています。

・当社は、当社の中長期的な企業価値向上に向けて、ファーマシー事業及びリテール事業のそれぞれにおいて、オーガニック出店及びM&Aの活用による規模拡大、そして専門性の向上や品ぞろえの拡充等の薬局・店舗運営戦略の推進を図るとともに、人的資本戦略、DXや資本財務戦略の推進、そしてサステナビリティ経営等を通じた経営基盤の強化を図ってまいります。その上で、当社は、株主の利益を意識し、中期目標として、ROE13%、長期目標としてROE15%を掲げており、これらの目標の達成のためには、事業の効率化による利益改善、規模拡大による販管費率低減等の施策や、自己株式取得を含めた更なる株主還元と資本効率の追求及び戦略投資を通じた事業成長を果たすことが必要と考えております。当社取締役会としては、会社提案に係る取締役候補者で構成される取締役会は、これらの施策の実現のために必要となるスキル・経験を十分に有しており、当社が健全で持続的な成長を実現し、中長期的な企業価値の向上、ひいては株主共同の利益向上の観点から最善の構成であると考えています。

(4)他方において、提案株主側候補者が当社の社外取締役に選任されることについては、大要以下のような懸念が存在します。

・提案株主側候補者は、すべての候補者において上場会社の社外取締役の経験がなく、かつ当社グループの主要事業であるファーマシー事業だけでなく、当社のリテール事業の特徴についても、積極的な認識に乏しいと言わざるを得ません。

当社取締役会は、必ずしも、新任の社外取締役候補者について他の上場会社における役員経験や当社・当業界への知見を必要条件と考えるものではありませんが、全国に店舗展開する調剤薬局事業で業界トップの規模を有し、また、商品構成や売り場づくり等について他の小売店と異なる点に特徴を有する「アインズ&トルペ」事業が急速に拡大しており、これからの注力分野のひとつに位置づけている当社の現状を踏まえれば、これらの経験や知見を有しない候補者については、これらがなくてもなお、1年の任期の間に実質的かつ十分な活動ができると考えられる理由や根拠が明確かつ具体的に備わっているべきであると考えます。しかしながら、各候補者には、このような理由や根拠を見出すまでには至らず、当社の社外取締役として活動いただくための前提に不足があると評価せざるを得ませんでした。

また、提案株主側候補者が当社社外取締役となった場合には、当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者との間で重複が生じる結果となること、そして、提案株主側候補者が当社の社外取締役となった場合、当社取締役会が提案する候補者のみが社外取締役となった場合のスキルマトリックスに比べてバランスを欠き、かつ当社取締役会が考える適正な取締役会の規模を逸脱することが懸念されます。

・実際に、当社指名・報酬等諮問委員会が本株主提案に係る各候補者と面談した結果、以下のとおり、各提案株主側候補者は、当社の企業価値の向上のためにその能力を発揮頂ける人材であるとの確証は得られませんでした。

①吉武一候補
吉武一候補は、コンプライアンス・内部監査の専門性を有するとされており、実際、面談における説明内容もその専門性を窺わせるものであり高く敬意を表するものですが、当社取締役会としては、内部監査に関するコンサルティング等、専門的な観点から当該分野に絞って助言等をいただくような役割については別段、経営を含めた幅広い助言も期待される社外取締役に最適な候補者であるとは評価できませんでした。既に当社では、上述1.及び2.のとおり、本件事案を踏まえたコンプライアンス推進体制の強化や更に実効的なガバナンス体制の構築に向けた各施策を遂行中であり、上述(3)のとおり、会社提案に係る取締役候補者の中には綿引氏や木村氏をはじめ、当社のコンプライアンス・内部監査の強化の観点からも最適な候補者が存します。これに加えて、吉武一候補が当社社外取締役となった場合には、当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者に重複が生じる結果となります。
②前田正吾候補
提案株主によれば、前田正吾候補は、金融全般に対する知見を有しているとのことでしたが、同候補者の経歴及びインタビューへの回答によれば、同候補者の経験は、金融業のうち資産運用業務に関するものが中心であり、M&A等を含む金融全般に関する具体的な経験や知見が豊富である旨の具体的な説明はなされませんでした。
当社では、調剤薬局を中心とするファーマシー事業及び高付加価値で特徴的な店舗展開を中心とするリテール事業を中核事業とする当社の中長期的な企業価値向上に向けて重要な施策となる、M&Aを含む投資意思決定等の具体的な財務戦略のスキル強化が喫緊の優先課題と考えており、M&Aに関する確固たる実績を有し、当該スキルを明確に有する会社提案に係る取締役候補者として、服部氏を新たに選任することを提案しています。服部氏は、M&A等の投資に関する知見はもとより、資本市場に対する十分な知見も有していると評価しており、かつ、上場会社における豊富な社外取締役としての経験も有するため、より当社の企業価値向上に寄与することができる候補者であると考えております。これに加えて、前田正吾候補が当社社外取締役となった場合には、当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者に重複が生じる結果となります。
③アレクサンダー・ドミトレンコ候補
アレクサンダー・ドミトレンコ候補は法律の専門家であり、事業経験や企業の業務執行に直接に携わる立場にはないと考えられますが、コンプライアンスにかかわる法律の専門家として当社が(事業のグローバル展開のための)法律顧問等ではなく、社外取締役として迎え入れるのであれば、本件事案を念頭に、日本法に基づく知識・経験を有する人材を求めるべきと考えます。そのために当社取締役会では、社外取締役候補者として綿引氏を提案しており、同氏に独立した立場から遺憾なく法務・コンプライアンスに関するスキルを活かしていただくことが、当社の取締役会として最適であると考えております。これに加えて、アレクサンダー・ドミトレンコ候補が当社社外取締役となった場合には、当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者に重複が生じる結果となります。
④新森健之候補
新森健之候補は、国内外での様々な形態でのコンシューマー事業における経験・知見を有するとのことですが、同候補者が担当していたドラッグストア事業と、当社が営むファーマシー事業やリテール事業は、そのブランドイメージ、取り扱う商品構成、店舗の売り場づくり等の観点から事業戦略上の位置付けが全く異なる業態であり、事業に精通していることを背景に監督・牽制機能としての役割を十分に発揮する人材には、ドラッグストア事業における経験・知見と異なる経験・知見が求められます。また、同氏の経験・知見は、当社グループのように国内全域に店舗展開を行う事業に関するものでもありません。当社が営む事業に関する知見を有する候補者として、当社取締役会は木村氏を推薦しており、同候補者は、全国展開する大手小売業を営む上場会社の取締役としての経営の豊富な経験だけでなく、ユニークな商品構成や売り場づくりに特徴を有する当社リテール事業についての深い理解も有しており、より当社の企業価値向上に寄与することが可能な候補者であると考えられます。これに加えて、新森健之候補が当社社外取締役となった場合には、当社取締役会が必要と考える知見・経験を有する取締役候補者に重複が生じる結果となります。

4.結論
以上の基本的な方針及び過程を踏まえ、当社取締役会において各候補者について慎重に討議した結果、当社取締役会としては、当社が健全で持続的な成長を実現し、中長期的な企業価値の向上、ひいては株主共同の利益向上を果たしていくためには、会社提案に係る取締役候補者で構成される取締役会が適切かつ最善であると判断いたしました。
したがって、当社取締役会は、本株主提案に反対いたします。

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