第6号議案 株主提案 自己株式取得の件

第6号議案および第7号議案は、株主1名からのご提案によるものであります。

以下の「議案の要領」および「提案の理由」は、提案株主から提出されたものを原文のまま記載しております。

1.議案の要領

会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を、株式総数3,200,000株、取得価額の総額2,700,000,000円を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。


2.提案の理由

当社は2022年11月1日の取締役会決議において、発行済株式総数(自己株式を除く)の1.23%、400,000株を上限とし、取得価額の総額の上限を313.2百万円とする自己株式の取得を決議し、当社が株主還元の拡充および資本効率の向上に向けた対策を実施している点は一定の評価が出来るものです。しかし、当社は現金資産の積み上がりにより自己資本利益率(ROE)は継続的に悪化し、株価低迷の一因となっております。当社のROEは過去5年間平均で5%を下回っており、ROEが資本コストを継続的に下回っていることは明白です。


そして、当社は銀行など国内金融機関と株式の持ち合い関係にありますが、国内金融機関は政策保有株式の削減を積極的に取り組んでおり、当社は自己株式取得により積極的に株式の持ち合い解消に応じ資本効率の向上を図るべきです。また、当社は資金調達等の円滑化を保有目的として国内金融機関の株式を政策保有株式として保有していますが、当社の現金資産が積み上がっている現在の財務状態を考えれば、その必要が無いことは明らかです。当社株式の市場流動性の懸念についても、持ち合い株式を自己株式として取得すれば、問題はなく対応することが可能です。よって、銀行を含む国内金融機関の当社保有株式を自己株式として取得し、さらに当社は保有する国内金融機関の株式を売却すべきと考えます。


弊社は現在の継続的な増配をベースとした株主還元に加えて自己株式取得の継続を提案します。当社のPBR(株価純資倍率)は0.6倍前後と1倍を大きく下回って推移しており、これは当社の株価が清算価値より低く株式市場から評価されていることを意味します。東京証券取引所が2023年3月に公表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」では、「PBR1倍割れは、資本コストを上回る資本収益性を達成できていない、あるいは、成長性が投資者から十分に評価されていないことが示唆される1つの目安」とされ、PBR1倍割れを是正する対応が東京証券取引所から要請されています。現在のように割安な株価で行う自己株式取得は一株当たりの価値(利益、純資産、配当)を高め、株主にとって増配以上に効果的な還元となります。そこで、PBR1倍割れの状況を改善し株価を意識した経営を行うとともに、国内金融機関との株式の持ち合いを解消し当社の株主還元の拡充および資本効率の向上を図るため、国内金融機関の当社保有株式を自己株式として取得する施策を採用すべきと考えます。

当社取締役会の意見

当社取締役会としては、本株主提案に、以下の理由で反対いたします。


当社は、お客さまに選ばれる良い音体験の継続的提供を通じ、社会課題の特定、解決、改善の一連のサイクルをお客さまと共に実現してゆく頼れるパートナーとして2030年を見据えた経営ビジョン「Dr. Sound -社会の音を良くするプロフェッショナル集団- になる」を掲げ、その中間地点となる2026年3月期を最終年度とした中期経営基本計画(以下「本中期計画」といいます。)を策定して遂行しております。

本中期計画においては事業成長に向けた投資を拡大し、その成果を更なる投資と還元へ振り向けていくことで資本生産性の向上をはかります。これを踏まえ、2022年3月期から2026年3月期のキャッシュ・アロケーションをもとに、維持投資として「既存事業継続のための必要投資50億~60億円」に加え、成長投資として「研究開発投資150億~160億円」、「IT・デジタル関連投資15億~20億円」、「戦略投資」、および株主還元として「株主価値向上に向けた還元50億~60億円」を財務方針として掲げております。

当社は株主の皆さまへの利益還元の充実を経営の優先課題の一つとして位置付けております。利益配分に関しましては、2023年3月期より安定配当を従来の20円から40円に引き上げ、更に業績連動を加えた連結配当性向として従来の35%から45%を目安に決定する方針に変更し、株主の皆さまへの還元を強化しております。

自己株式の取得については、取締役会の決議にて機動的に実施することが適切であるとの考えのもと、当社定款にその旨を規定し、2022年11月に400,000株の自己株式の取得および消却を実施しております。

今後、2023年5月2日にリリースしましたとおり、本中期計画フェーズ2を遂行していく中で、戦略投資と株主還元のバランス、株主価値の向上等の観点から資本政策の機動性確保は極めて重要であり、その方法、時期、規模などは適宜適切に決定すべきものであると考えます。

これについては、本中期計画に基づいた財務方針を中心とした施策を実施することで、本中期計画の目標達成、経営ビジョン2030の実現および持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する投資を実施していく考えであります。

引き続き、成長投資とのバランスにも考慮しつつ、株主価値向上につながる還元施策を強化させていくとともに、PBR1倍超の早期実現を目指し取組みを進めてまいります。

また、政策保有株式に関しては、コーポレート・ガバナンスに関する報告書内の「コーポレートガバナンス・コード原則1-4政策保有株式」に、政策保有方針を記載しており、当該方針に基づいて政策保有株式を保有しており、毎年、取締役会において、投資戦略、営業協力および技術交流などを踏まえ、定期的に政策保有株式の保有意義とその効果および当該保有が資本コストに見合うものであることの検証を適切に確認しております。

従いまして、当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


【ご参考】

・2023年5月2日リリース「中期経営基本計画 フェーズ2開始のお知らせ」

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6809/tdnet/2269186/00.pdf

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